研究課題/領域番号 |
05454500
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森本 俊文 大阪大学, 歯学部, 教授 (20028731)
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研究分担者 |
井上 富雄 大阪大学, 歯学部, 講師 (70184760)
松尾 龍二 大阪大学, 歯学部, 助教授 (30157268)
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キーワード | 頸部交感神経 / ストレス環境 / ラット / 咀嚼筋筋電図 / 咀嚼筋血流 / 筋紡錘 / 下顎張反射 / 咬筋 |
研究概要 |
慢性的なストレス環境下では交感神経活動の高まることが知られている。この神経活動亢進が無意識下の噛いしばりや歯ぎしりなどによって咀嚼筋や顎関節の痛みを生じる原因になっているのではないかと考えられるので、平成5年度では先ず頸部交感神経を電気刺激した場合の咀嚼筋活動および咀嚼筋血流への影響をラットを用いて分析した。その結果、以下の結果が得られつつある。 1.麻酔ラットの頸部交感神経に反復電気刺激(8V、1ms、10Hz)を与えると瞳孔が散大し、下顎張反射により生じた側頭筋、咬筋の筋活動が刺激開始後2秒以内に抑制された。この筋活動の抑制は交感神経の刺激側と同側にのみ認められた。なお、刺激終了後は逆に筋活動の一過性増大が生じた。一方、開口筋である顎二腹筋の自発性筋活動は交感神経刺激によってはほとんど影響を受けなかった。 2.交感神経の切断末梢端より記録した筋感覚神経活動に対して、交感神経の電気刺激は抑制のみを生じさせた。この筋感覚神経の活動は1mm以下の僅かな開口(閉口筋の伸張)で生じ、咬筋の一過性収縮時には活動を停止したので筋紡錘の求心性神経であると考えられた。 3.頸部交感神経を5秒間反復電気刺激すると咬筋のみならず、顎二腹筋の血流も減少することがレーザードプラー法を用いた記録で明らかとなった。なお、この刺激を短時間内に反復すると血流は減少したままであった。 これらの実験結果から、頸部交感神経の興奮は咀嚼筋活動を亢進せず、むしろ抑制する作用が主体であることが明らかとなった。そこで今後は交感神経薬を全身性に投与することにより、咀嚼筋活動がどのような影響を受けるかを明らかにする計画である。
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