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1994 年度 実績報告書

新鮮脳薄切標本を用いた顎運動パターン形成に関与する中枢神経機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 05454501
研究機関大阪大学

研究代表者

井上 富雄  大阪大学, 歯学部, 講師 (70184760)

研究分担者 脇坂 聡  大阪大学, 歯学部, 助教授 (40158598)
松尾 龍二  大阪大学, 歯学部, 助教授 (30157268)
キーワード三叉神経運動核 / 運動ニューロン / in vitro / 細胞内記録 / スパイク後電位 / セロトニン / カルシウムイオン
研究概要

咀嚼運動などの口腔機能の発現メカニズムを知る上で、咀嚼筋を直接支配する三叉神経運動ニューロンの電気生理学的特性を調べることは非常に重要である。そこでまずニューロンの発火パターンの形成による影響すると言われているスパイク後電位に着目しその性質を調べた。さらに脊髄や脳幹部の運動ニューロンに豊富な入力が認められているセロトニンの環流投与に対する影響を調べた。その結果以下のことが明らかになった。
1.スパイクに引き続いて後過分極電位(AHP)が記録されたが、この後過分極電位は後脱分極電位(ADP)により,速い成分(fAHP)と遅い成分(mAHP)に分けられた。
2.mAHPは、Ca^<2+>チャンネル阻害約であるMn^<2+>あるいはCo^<2+>により抑制され、細胞外Ca^<2+>濃度の上昇に伴ってその振幅を増大させた。さらにSKタイプのCa^<2+>依存性K^+チャネル拮抗薬のapaminにより抑制された。
3.ADPはapaminによってmAHPを抑制した状態で細胞外Ca^<2+>濃度を上昇させると、振幅を増した。
4.セロトニンの投与により、
(1)記録されたほとんどのニューロンにおいて静止膜電位が上昇し、入力抵抗の増大が認められた。
(2)time‐dependent in ward rectificationが顕著になった。
(3)脱分極パルス通電によるスパイク発射頻度が上昇した。
以上の結果からmAHPはSKタイプのCa^<2+>依存性K^+チャネルを介して出現し、ADPはCa^<2+>の流入により出現することが明らかとなった。またセロトニンは三叉神経運動ニューロンの興奮性を上昇させることが示唆された。今後は開口筋と閉口筋の運動ニューロンの相違などを調べ、顎運動出力調節機構の詳細を検討していく計画である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Tomio Inoue: "Serotonergic facilitation of trigeminal motoneuron excitability in rats" The Japanese Journal of Physiology. 44. S224 (1994)

  • [文献書誌] Masayuki Kobayashi: "Electrophysiological properties of rat motoneurons of jaw closing muscles." Neuroscience Research. 19. S184 (1994)

  • [文献書誌] 井上富雄: "三叉神経運動ニューロンに対するセロトニンの影響" 歯科基礎医学会雑誌. 36. 113 (1994)

  • [文献書誌] 松尾龍二: "舌の機械刺激に対するラット鼓索神経応答:麻酔下と無麻酔下の記録" 日本味と匂学会誌. 1. 250-253 (1994)

  • [文献書誌] Tomio Inoue: "Facilitation of trigeminal motoneuron excitability by serotonin in the rat" 「Brain and oral function」‐Oral motor function and dysfunction,edited by T.Morimoto,T.Matsuya and K.Takada. (in press). (1995)

  • [文献書誌] Ryuji Matsuo: "Effect of saliva and licking on the initial portion of taste response of rat chorda tympani nerve" 「Brain and Oral function」‐Oral motor function and dysfunction,edited by T.Morimoto,T.Matsuya and K.Takada. (in press). (1995)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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