本年度は咬合機能状態の本質的な問題として従来より注目されていた咀嚼中心の生理学的意義の解明を健常者、小臼歯部以後の咬合を喪失した症例との対比により、咀嚼筋活動量、持続時間、リズム構成、さらに筋間の協調性等をパラメーターとして松元の開発した補綴処置効果判定装置と、同ソフトをシグナルプロセサーに移植したシステムを使用して解析を行ってきた。その研究成果の一部は第90回日本補綴歯科学会において平成5年10月に報告した。それらの概要は以下のような点である:i)中心咬合位を変化させずに前方、後方、左右側への意識的な筋力の調整が可能で、明確に前方で側頭筋、後方で咬筋の活動が優位であった。ii)咀嚼筋間の協調性は小臼歯、第一大臼歯部で最も高く、咀嚼律動性の形成も咀嚼開始より最も速いストローク数で行われることが分かった。iii)同部の欠損により咀嚼律動性、筋活動は減衰を示した。iv)これらは咀嚼に際して舌運動と協調して食塊形成にも関与する中枢でのプログラミング運動の一貫と考えられる。本年度はこれらの第一段階のまとめを行う予定である。
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