研究概要 |
口腔機能と体性運動機能との相関について、研究代表者らは健康成人にて噛みしめ時ヒトヒラメ筋H反射が著しく促通を受け、その促通の程度は咬合力と正の相関を示すことを見いだした。本研究では、健康成人を被検者として、リズミカルな顎運動と体性運動機能との関係をヒラメ筋反射を指標として解析した。 被検者は顎口腔領域に異常の認められない成人男性5名とした(22-27歳)。被検者をリクライニングシートに座らせ、膝関節、足関節を120゚、100゚に固定した。H反射は膝窩にて脛骨神経を電気刺激することにより誘発し、ヒラメ筋上の表面電極により記録した。被検者には2つの課題を遂行させた。1)歯牙接触なしのリズミカルな開閉口運動(RJM)、2)リズミカルなガム咀嚼(RGC)。課題遂行時以外は下顎安静位を保たせた。課題遂行前後のH反射の振幅を比較した。顎運動のモニターは、両側の咬筋、顎二腹筋からEMGを用いた。 次の結果を得た。1)リズミカルな顎運動時H反射の振幅は有意な促通を示した(P<0.05,t-test)。2)リズミカルなガム咀嚼時H反射の振幅は有意な促通を示した。3)いずれの場合も促通の程度、開口相と閉口相とで有意差は認められなかった。(P>0.05,分散分析法)。 以上から、ヒラメH反射はリズミカルな顎運動時持続的な促通を示し、その促通には歯根膜機械受容器からの求心情報は関与しないと考えられる。 この研究から、咀嚼機能と体性運動機能との間には強い影響があるものと考えられる。
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