既知のMTT法、ニュートラルレッド法、LDH法を用いてアクリルレジンの構成成分であるメチルメタアクリレート、過酸化ベンゾイルなどの毒性試験法を検討したところこれら細胞毒性試験法のなかでMTT法、ニュートラルレッド法がLDH法よりも感度が高かった。 模擬的に作成した顔料不含有アクリルレジン重合体(アクロン、クリア)からの溶出試験に関しては高速液体クロマトグラフィーの移動相の諸条件を決定したが、液相中に入っている重合禁止剤であるヒドロキノンの分離が現在のところ分離できていない。これは溶出溶媒としてメチルアルコールを使用しているため、抱接化合物を形成しているので、この分離条件に関しては現在検討中である。メチルアルコールを溶出溶媒とした時、メチルメタクリレート、過酸化ベンゾイル、過酸化ベンゾイルの分解物である安息香酸と安息香酸メチル及び未同定物質が経日的に溶出された。低温重合体(70℃、8時間)からの残留モノマーは高温重合法(70℃、1時間重合後100℃、30分)に比べると多量に溶出するという結果が得られた。また、過酸化ベンゾイルが経日的に安息香酸と安息香酸メチルに分解されるので溶出される物質をすべて定量的に測定するには24時間毎に測定するような方法を採用すべきであることが示唆された。 膜の微環境の状態変化を指標とした毒性試験法のための装置である蛍光偏光解消装置(本研究費で購入)は一部改造部分があったので、納入が若干遅れたため、現在測定の諸条件の設定を行っている。
|