研究概要 |
新規の複合体を臨床応用する際に,現時点で最大の強度をもつキャスタブルセラミックス(OCC)で作った大臼歯クラウンでさえも臨床では2,3年後に破折するケースがあることを経験したので,臨床では咬合面の一部を被覆する前装冠の前装部として用いることにした。したがってレジン及びセラミックスのチタンや常温時効硬化金合金等への接着が必要になり、金属接着性プライマー及びポーセレン用接着性プライマーの検討も行い,それぞれの組合せに最適な接着システムを確立した。これについては,それぞれ学会誌に発表した。 咬合力測定システム(オクルーザー)による咬合力分散状態の観察は,経過期間が最長でも半年間にとどまったため、装着時との有意差は生じなかった。咬合面の一部に使用しても短期間では問題は生じなかったが、さらに長期間の観察が必要である。また、口腔内での咬耗パターンのレプリカのSEM観察でも,わずかにレジン部分の咬耗が観察されただけで,この期間における咬耗パターンの明確な差を確認することができなかった。最終段階で,咬合分析装置のソフトにさらに改良が加えられ,接着面積がパソコン上にでるなど,多数の症例に対しても正確なデータが素早く分析,検討できるようになった。引続き臨床経過を追求し,咬合力が長期間に均等に分散されるように咬耗する歯冠補綴物であることを明らかにする予定である。
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