研究概要 |
近年高齢化社会を向かえて高血圧,狭心症,心筋梗塞などの心臓循環器系疾患を有する患者が歯科領域でも増加しているが,このような患者の歯科治療時に神経性ショックが発生した場合を想定した研究はほとんど行われていない.そこで,丹羽らが開発した研究法を実験的に虚血心を作成したネコに応用した実験系を計画した. 全身麻酔下に開胸を行い,冠動脈(左前下行枝)の血流量を電磁血統計にて測定しながらその末梢側を縫合糸を用いて人為的に狭窄させ,虚血性心疾患のモデルを作製することに成功した.循環動態および心機能のパラメーターとして,血圧,心拍数,心拍出量,冠動脈血流量,左室内圧・左室一時微分係数dp/dt,心筋の組織酸素分圧の変化を測定した.また,視床下部腹内側核に刺激用電極を挿入し,電気刺激を行うことにより,歯科治療時の不安,恐怖等による精神的ストレスに類似したストレス状態を作り出し,そのときの心機能の各パラメーターを測定した.視床下部電気刺激に伴い,血圧,心拍数,心拍出量,dp/dtは増加し,刺激後対照値にもどった.冠動脈血流量,心筋酸素分圧にはほとんど変化はみられなかった. 現在,歯科治療時の神経性ショック状態を作り出すため迷走神経電気刺激を行い,この時の循環動態の変化についても検索を行っている.また,視床下部電気刺激と迷走神経電気刺激を同時に行うことによるより複雑な実験系についても検討」行っている.
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