研究概要 |
研究経過 1)リンパ球サブセットの解析:組織の場合は、凍結切片を作製し、各種モノクローナル抗体(CD3,CD4,CD8,T細胞レセプターαβまたはγδ、CD20,NKH1などに対する)を用いてサブセットを同定した。さらに、2重染色法により、これらリンパ球のうちの活性化されているものを,CD25,CD69,L5.1により同定した。末梢血の場合は単核球を分離し同様の検討をフローサイトメトリーを用いて行なった。 2)リンパ球機能の解析:上記組織よりリンパ球を分離したのちに、各種刺激たとえばマイトジェン、抗CD3抗体、IL2などを加え、^3H Thymidineの取り込みにより増殖活性を検索、^<51>Cr-release法により自己やalloの癌細胞に対する細胞障害活性を検索し、前述の活性化抗原の発現程度をフローサイトメトリーで検討を行なった。 3)細胞接着分子の検索:凍結切片を作製してLFA-1,VLA-4,-5,ならびにVCAM-1,ICAM-1さらにELAM-1,HCAMについて検索し、T細胞の抗原認識と活性化における接着分子の役割を検討した。 4)T細胞レパトアの解析:上記組織、細胞よりRNAを抽出しこれをもとに1本鎖cDNAを作製した。これに対し、T細胞レセプターのC領域に対応するプライマーと各V領域ファミリーに特異的なプライマーを用いて、PCR法によりDNAを増幅した。このDNA産物をC領域のプローブと反応させることにより、T細胞レセプターの多様性を解析し、口腔癌に特異的に反応しているV領域ファミリーを同定した。 5)癌細胞DNA量の測定:凍結癌組織を酵素処理した後に、プロピジウム・アイオダイドで染色し、フローサイトメトリーを用いて細胞当りのDNA量を測定した。これにより、口腔癌DNAaneuploidyの発現率やPloidyパターンを同定した。 研究結果 1)リンパ球サブセットの解析:腫瘍部浸潤リンパ球CD2^+,CD3^+,CD4^+,T細胞レセプターαβ^+であったが、活性化されたT細胞は少量であった。 2)リンパ球機能の解析:自己やalloの癌細胞に対する著明な細胞障害活性は認められなかった。 3)細胞接着分子の検索:細胞外基質の出現状態とVLA-1-6の関連性ならびに転移とVLA-2,3,6出現量との関連性が示唆された。VCAM-1,ICAM-1さらにELAM-1,HCAMについては、転移との明確な関連性は認められなかった。 4)T細胞レパトアの解析:末梢血と対比してVβ5.2,Vβ6が優位に発現していた。 5)癌細胞DNA量の測定:口腔癌の転移傾向と腫瘍細胞のDNAaneuploidyの発現率やPloidyパターンの間に関連性が示唆された。
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