研究概要 |
三叉神経系における神経伝達物質受容体の役割を明かにするべく次の項目に関して検索した。 1)三叉神経節におけるGABA_Areceptorgamma1,gamma2subunitの共存 2)視床へ投射するニューロンに対するアミノ酸入力 1)三叉神経節におけるGABA_Areceptorgamma1,gamma2subunitの共存 GABA_A受容体には,多くのsubunitが存在し,それらがcomplexを作って受容体を形成していることが明かとなった。今回は,特に生理活性作用発現に重要とされるgammasubunitに関してそのmRNAをin situhybridization法を用いて検索した。さらに連続切片を作成し同一細胞での共存発現に関しても検索した。その結果,三叉神経節全細胞のうちほとんどの細胞がgamma2subunitを発現し,gamma1とgamma2subunitの共存率は,約75%であった。また,免疫組織化学にて受容体蛋白の存在も明かとした。 2)視床へ投射するニューロンに対するアミノ酸入力 三叉神経系の二次路として三叉神経脊髄路核から視床後内側腹側核への経路が存在する。まず,その経路を明かにするべく視床後内側腹側核へretrogradetraceであるFluoro-Gold(FG)を注入し3-5日後に脊髄路核を含めた延髄を摘出した。摘出標本を15-20mumの切片に切り出しAMPA型glutamate receptor(GluR1,GluR2/3)およびGABA_Areceptorgamma1,gamma2subunitの各抗体にて反応させた。その結果,FG陽性細胞のほとんどがGABA_Areceptorgamma1およびgamma2subunit陽性であった。また,GluR1,GluR2/3陽性反応は,FG陽性細胞の一部でのみ認められた。これは,視床へと投射するニューロンはGABA作働性システムである事を示し,AMPA型受容体を介するグルタミン酸作働性システムは,多くが介在神経を介していることが明かとなった。尚,介在神経のマーカーとなるenkephalinとGluR1,GluR2/3との共存を連続切片にて明かにもした。
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