研究概要 |
本年度の研究計画に基づき以下の研究成果を得た。 1)PGI_2受容体及びPGF_<2α>受容体の遺伝子cDNAをクローニングした。ヒトPGI_2受容体は386個のアミノ酸より成る分子量40956の蛋白で、一方、マウスPGF_<2α>受容体は366個のアミノ酸より成る400077の蛋白で、共に7つの疎水性領域を持ち、GTP結合タンパク質と会合するロドプシン型受容体である。CHO発現細胞でのリガンド結合特異性(^3H-iloprostに対する)は、iloporst=cicaprost>>carbacyclin>PGE_1>STA_2の順で、PGE_2,PGD_2,PGF_<2α>は結合しない。PGI_2受容体はアデニル酸シクラーゼとホスホリパーゼCの両方に共役する。一方、PGF_<2α>受容体のリガンド結合特異性(^3H-PGF_<2α>に対する)は、PGF=9α,11β-PGF_<2α>>PGF_<1α>>PGD_2>STA_2>PGE_2>iloprostの順であり、妊娠マウス卵巣の黄体に局在し、他に腎、肺、心筋、胃に発現している。PGI_2受容体は細胞内Ca^<2+>濃度の増大を起こす。 2)PGE_2受容体サブタイプのG蛋白共役を明らかにした。EP1=(G蛋白不明)=細胞外Ca^<2+>の流入促進,EP2=(Gs)=cAMPの増大、EP3=(Gi)=cAMPの増大抑制がわかった。一方、EP3にはC末端部位ペプチドのみが異なるEP3α,EP3β,EP3γの三種類のイソフォームがあり、cAMP代謝にはそれぞれGi,Gi,Gi/Gs、また、三者はGiを介して細胞内Ca^<2+>の増大を起こすことを見いだした。 3)EP3イソフォームのC末端鎖の役割を変異イソフォーム受容体から解析した。C末端鎖はG蛋白との共役には必須ではないが、活性化に必須である。
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