研究課題/領域番号 |
05454572
|
研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
野瀬 清 昭和大学, 薬学部, 教授 (70012747)
|
研究分担者 |
柴沼 質子 昭和大学, 薬学部, 助手 (60245876)
荒田 悟 昭和大学, 薬学部, 助手 (20159502)
真下 順一 昭和大学, 薬学部, 助手 (60054045)
|
キーワード | TGF-β1 / Zn-フィンガー / 細胞老化 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
TGFβ1で誘導される遺伝子として分離した遺伝子のなかでHIC-5遺伝子の産物および細胞に導入した時の形質の変化を解析した。HIC-5cDNAは7個のZn-フィンガーを持つ新規の蛋白質をコードしZnフィンガー部分は転写因子として知られるLIMモティーフと高い相同性を示した。ORFから予想されるペプチドを合成し、これを抗原とした抗体による免疫染色を行なったところHIC-5蛋白質は核に局在することが明らかとなった。また、大腸菌で生産したリコンビナントHIC-5蛋白質は、二本鎖DNAに結合する性質を示した。この結合に塩基配列特異性があるかどうか現在検討中である。 HIC-5cDNAを動物細胞の発現ベクターを作製し、ヒト不死化センイ芽細胞に導入した。用いたベクターにはG418耐性があるので、プラスミドを取込んだ細胞をG418添加培地で選択し、G418耐性コロニーの出現はHIC-5のセンス鎖発現により顕著に抑制された。また、形成されたコロニーからのクローンの中でHIC-5mRNAの発現レベルの低いクローン、高いクローンをそれぞれ分離し、継代中の増殖速度を見たところ、発現の高いクローンは親細胞が無限増殖を持つのにもかかわらず、20〜40回の分裂の後、増殖が停止した。形態も老化細胞と類似し、mRNAレベルでも加令に伴い発現の上昇する細胞外マトリックス蛋白、WAF-1などのmRNA量が増加していた。この増加は、これら遺伝子の転写を直接上昇させるわけではなく、HIC-5蛋白が遺伝子の高次構造に影響する可能性が考えられ、今後その実証が重要である。
|