研究概要 |
研究成果は大きく次に示す4つに分けられる。 1.銅の先天的代謝異常動物であるLECラットにおける代謝異常と毒性発現の関係の解明 LECラットの肝臓に蓄積している銅がメタロチオネイン(MT)に結合していること、そしてMTの合成量が限界に達したとき、MTに補足され得なくなった銅が毒性発現の引き金となっていることを示した。また、肝炎の発症に伴う肝臓中の遊離な銅の増加と肝臓から血流へ銅の流出が、血流中の銅量と存在形態の変化をもたらし、腎臓中の銅の蓄積の原因となることを示した。 2.LECラットにおける銅酵素への選択的な供給機構の解明 セルロプラスミン(Cp)とCu,Zn-SODが共に肝臓で合成される銅酵素であるにもかわらず、銅の供給のされ方に差が出ることの理由を検討した。これらの銅酵素の合成からプロセシングの過程におけるMTからの銅の受け取りやすさの差が、銅含量の差の原因となっていることを明らかにした。 3.ウィルソン病の治療を目的とする銅の選択的除去法の開発 テトラチオモリブデ-ト(TTM)を用いることにより、MTに結合している銅を選択的に除去することができることを示し、その機構を明らかにした。 4.LECラットにおける銅によるメタロチオネイン合成の誘導機構 LECラットの肝臓中にMTに結合した状態で銅が異常蓄積する原因として、MTの合成が異常に亢進していることを明らかにした。
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