研究概要 |
1.Scopolamine誘発健忘に対するdynorphin A-(1-13)の記憶・学習改善作用は高架式十字迷路法によりdynorphin A-(1-13)(10μg)により改善された.この改善作用はカッパオピオイドレセプターを介してscopolamineにより誘発される記憶障害を改善することが明らかとなった.さらにdynorphin A-(1-13)のscopolamine誘発健忘に対する改善効果がDA,D_2アゴニストのRU24213が抑制されたことから,dynorphin A-(1-13)によるこの効果はカッパオピオイドレセプターだけではなくDA,D_2レセプターを介するDA神経系の活性低下も関与していることが示唆された. 2.生理活性ペプチドのgalanin(0.3μg)によるステップダウン反応潜時の短縮をdynorphin A-(1-13)が有意に抑制し,抗健忘作用を示した.このdynorphin A-(1-13)の抗健忘作用は,カッパオピオイドレセプターアンタゴニストのNor-binal torphimine(4μg)によりあきらかに拮抗されたことからカッパオピオイドレセプターを介するものであると強く示唆された. 3.一酸化炭素誘発健忘に対するdynorphin A-(1-13)の作用は受動的回避学習試験や自発的交替行動法において健忘改善することを明らかにした.またmethanphetamine誘発のdopamine遊離に対するdynorphin A-(1-13)の作用は,線条体DA作動性神経系に対し,methanphetamineとは異なった作用機序で抑制的に作用している知見を得た.
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