研究課題/領域番号 |
05454583
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
菅野 剛史 浜松医科大学, 医学部, 教授 (70051406)
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研究分担者 |
前川 真人 浜松医科大学, 医学部, 助手 (20190291)
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キーワード | データベース / システム化 / 遺伝子変異 / コリンエステラーゼ / サイレント型遺伝子 / 人類遺伝学 / コンピューター診断 |
研究概要 |
遺伝子解析情報として、まず血清コリンエステラーゼの遺伝性変異をとりあげて調査した。すなわち、その存在頻度を調べるために、血清コリンエステラーゼ活性が低値(正常値の平均値-3SD)である個体を集め、DNA診断を行った。遺伝子解析手法としては、Polymerase Chain Reaction-Single Strand Conformation Polymorphism(PCR-SSCP)、塩基配列決定法を施行したところ、コリンエステラーゼ遺伝子のコドン24、365、330、119、515、418にミッセンス変異もしくはナンセンス変異を見いだした。これらは低コリンエステラーゼ血症として発現するサイレント型遺伝子と考えられる。これら低コリンエステラーゼ血症を示した個体の内、約半数が上記のサイレント型遺伝子変異のヘテロ接合体であった。すなわち、低コリンエステラーゼ血症は全人口の約1.3%を占めていたので、その約半数に遺伝子変異が存在するとすれば、およそ150人に一人の割合となる。また、欧米の報告例とは異なった特異的な遺伝子変異も検出し、人類遺伝学的な知見も得られた。このような遺伝性変異のある個体では、先天的にコリンエステラーゼ活性が低いのにもかかわらず、肝機能障害と診断された例が実在する。同じく肝臓で合成されるアルブミンとの比率などで判別関数を作成し、コンピューター診断することを現在試みている。 なお、遺伝性変異を検出する手法としてPCR-SSCP解析を用いたが、我々の検討の結果、変異の種類によっては、SDSを泳動用バッファーに加えた方が検出感度が上昇する場合があることをつきとめた。遺伝性変異のスクリーニングとしてさらに役立つ所見と考える。 他にも高HDL(high density lipoprotein)血症、高LDL(low density lipoprotein)血症、高TG(triglyceride)血症などの検体を日常分析検体などから集めており、次のステップでは研究試料として使用する予定である。
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