これまでの2年間の経緯から、コリンエステラーゼ変異、乳酸脱水素酵素(LDH)-サブユニット変異、については、見いだされた症例について関連する一般検査のデータから判別式が作成され、一次スクリーニングの可能性が示された。一方、この判別式によるスクリーニングの効率も症例毎に明らかにされ、スクリーニングの困難な例も明らかにされた。また、これまでの例に加えて、血液凝固関連の検査データの異常から凝固因子、第XI因子変異、ATIII変異の家系が見いだされてきた。 要約すれば、コリンエステラーゼ高活性のC5変異に関しては、基準範囲上限の2倍の活性値をカット値として症例を選択し、判別式にて85%推定値で効率よくスクリーニングされる。DNA検索をする前に判別式の選択を加えるべきである。低活性のサイレント変異に関しては、ヘテロ体を含めるには、基準範囲下限をカット値として選択し、肝機能に関連する日常検査のデータから判別式が作成できる。これを用いて肝障害者を排除し、残りをDNA検索で対応すべきである。また、ホモ体に関しては基準範囲の3SDIを利用して選択可能である。また、k-変異に関しては判別式の作成は困難であった。LDH-サブユニット変異に関しては、H-サブユニット変異に関しては、基準範囲の3SDIでふるい分け、赤血球のLDH検索で、効率よく選別され、DNA検索で確定診断が可能である。また、M-サブユニット変異では、現状では効率よい選別法はない。 その他の変異に関しては、症例数が少なく日常検査からのスクリーニングについての検索は不可能であるが、今後の課題としたい。
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