初年度において、看護における無菌法の各種手技についての問題点を洗い出すために、病院勤務の現役ナ-ス、および臨床実習を経験した看護学生、各々約70名づつにアンケート調査を行った結果出された様々な問題は、大きく次の三つのグループに分けられた。第一のグループは、既に明らかになっていることについて悩んでいたり間違った手技を行ったりしている。第二のグループは、比較的簡単な実験を行うことにより、明らかに出来る問題を含む。第三のグループは、真ぐには結論が出ないが、じっくりと取り組んでいく必要があると考えられる問題を含む。第一のグループおよび第二のグループに入る問題点については、初年度に引き続き更に検討するとともに、今年度は第三のグループに入る問題点の内、各種ケアと手洗いの関係について焦点を絞り検討した。 日頃ベッドサイドで行っている各種ケアの中で、患者にどのようなケアを行うとどんな種類の汚染菌にどれだけ手が汚染されるのか、またその汚染は、ケア後の石鹸による手洗いによって落ちてしまうのかそれとも付着されたままなのかなどの点について、重症患者のケアの多い救急部病室勤務のナ-スの協力を得て、実際のケアの前後および石鹸手洗い後の手指細菌を採取して検討した。その結果は、まだ一部のデータが出ただけであるが、患者のケア後にナ-スの手指に付着した汚染菌は、ケア直後の石鹸にによる手洗いで、殆どのケースでは落ちてしまうが、手洗い後に付着菌が残る例もたまに見られることから、ケアの種類との関係および手洗い方法の検討が必要であることが明らかになった。
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