研究課題/領域番号 |
05454591
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
片山 洋子 大阪市立大学, 生活科学部, 教授 (50047049)
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研究分担者 |
高橋 研一 大阪府立看護大学, 医療技術短期大学部, 教授 (40089959)
奥田 豊子 大阪市立大学, 生活科学部, 助教授 (90047308)
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キーワード | ラクトスクロース / セルロース / 大腸癌 / ラット / ビフィズス菌 / 胆汁酸 |
研究概要 |
難消化性オリゴ糖のラクトスクロースには、食物繊維の様な作用が期待されると同時に腸内環境を変化させる可能性がある。本研究は1,2-dimethylhydrazine(DMH)を投与し、長期間にわたってラクトスクロースを含む高脂肪食で飼育し、ラットにおいて大腸癌発生に対する抑制効果を観察した。すなわち、3週齢のF344系雄ラット72匹をDMHを投与する群と投与しない群の2群に分けて4週間飼育し、その後、35週間にわたって、(1)DMH(-)セルロース食群、(2)DMH(+)無繊維食群、(3)DMH(+)セルロース食群および(4)DMH(+)セルロース+ラクトスクロース食群に分けて各群とも18匹ずつ飼育した。 その結果、DMHを投与していない群では大腸癌の発生が全くみられなかったが、DMH(+)無繊維食群は18匹のうち9匹に大腸癌が認められ、その発生率は50%、DMH(+)セルロース食群は18匹のうち6匹で発生率33.3%を示したのに対してDMH(+)セルロース+ラクトスクロース食群は18匹のうち2匹で有意に低い発生率(11.1%)であった。大腸癌の発生部位は盲腸から肛門に向って約3cmの近位結腸で、直径が約5mmぐらいの大きさであった。 他の群にくれべて、セルロース+ラクトスクロース食群は盲腸内容物も結腸内容物も有意に増加し、盲腸内容物中の細菌叢を検索したところ、ビフィズス菌の増加が目立ち、また、糞中胆汁酸のうち二次胆汁酸が低い値を示した。 セルロースとラクトスクロースを含む飼料でラットを長期間飼育すると、大腸癌の発生率が低下し、下部消化管の内容物の増加が観察された。盲腸や結腸の内容物による希釈効果とともに、ビフィズス菌の増加、胆汁酸濃度の低下などが関与して大腸癌発生が抑制されたものと推察される。
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