研究課題/領域番号 |
05454592
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
川端 晶子 東京農業大学, 農学部, 教授 (30078133)
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研究分担者 |
澤山 茂 東京農業大学, 農学部, 助教授 (00078213)
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キーワード | ペクチン / 機能特性 / レオロジー的性質 / 低メトキシルペクチン / ゾル・ゲル転移 / テクスチャー / 官能評価 / 多変量解析 |
研究概要 |
平成6年度は、以下の項目について検討した。 1.低メトキシル(LM)ペクチンの食品機能に関する基礎的研究としては、愛玉子から得られる水溶性多糖類に注目した。この水溶性多糖類は、室温でも自動的にゲル化する性質を有し、LMペクチンと比較的近似した性質であるが、他のゲル化剤とは異なる食感をもち、新しい食品素材として期待される。しかし、ゲルの硬さは、調製後一定時間後にピークを示すが、その後経時的にゲルが脆弱化する傾向がある。そこで、利用上の向上を目的としてゲルの脆弱化の要因について検討した。水抽出液の分子量分布は、保存時間が長くなるに従いピークが低分子側にシフトした。水抽出液中の還元糖及び遊離メタノール量を測定した結果、ペクチンエステラーゼによって低メトキシル化が進行し、ポリガラクチュロナーゼの働きが誘導されることが示唆された。凍結走査型電子顕微鏡によるゲルの割断面の観察では、愛玉子ゲルは保存時間が長くなるに従いルーズな網目構造になることが示されたゲルの凍結・解凍に伴う離漿率は、愛玉子ゲルはLMペクチンゲルに比べて著しく高かった。 2.LMペクチンの好ましいテクスチャー発現素材としての基礎研究としては、起源、脱メチル化法を異にするLMペクチンと他のゲル化剤による混合多糖ゾル-ゲルを試作してその物性を検討した。また、LMペクチンのゲル化に必要な2価の金属イオンであるCa^<2+>の給源として有機酸水溶カルシウムを添加したゲルを調製し、ゲルの破断特性、テクスチャー特性の面から検討した結果、ペクチン単独に比較して多糖の混合により種々の特性を有するゲルの調製が可能であること、また、有機酸水溶カルシウム添加ゲルは透明度、食感に優れ離奬の少ない良好なゲルが調製できることが明らかとなった。ゲルの官能評価を行って得られた特性値と機器測定によって得られた特性値を用いて多変量解析により検討した結果、ゲルの特徴づけに関与する因子を明らかにできた。走査型電子顕微鏡によるゲルの割断面の観察を行った結果、物性値、官能評価を裏付ける組織構成が明らかになった。
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