骨粗鬆症の予防には20歳代から30歳代にかけての最大骨量を高めておくことが重要であり、それ以前の若年期からの食生活および生活活動量が大きく影響する。しかし、現実には豊かな食環境の中で、若年者のダイエット趣向、さらには便利な生活に慣れ、活動量は少なく、これが低骨密度に影響していると考えられる。従って、骨密度と体格および身体活動との関連性を追求し、若年者に対する低骨密度予防を積極的に奨めて、それによって、今後益々急増し、さらに重大な社会問題となるであろう骨粗鬆症の予防に継がることを期待する。そこで、本研究では、女子学生を対象として、体格および食生活、生活活動量、運動との関係をX線骨密度測定装置による骨密度から比較検討した。その結果、1.体格と骨密度において、体格指数(BMI)により骨密度を比較した結果、体格指数の低いダイエット趣向者は、標準範囲にある者に比べ、骨密度は有意に低値を示し、さらに、エネルギー摂取量が低値を示す一方、ビタミンAが過剰摂取されており不適正な食形態が認められた。2.運動群と対照群との骨密度の比較において、運動群は、対照群に比べ有意に高値を示した。3.腰椎と踵骨骨密度との間に高い正相関が認められ、また、踵骨骨密度も腰椎同様に体格の影響を受けやすいことが示された。 以上より、低骨密度予防には、エネルギー、カルシウムなどの栄養素の充分量の摂取とともに、バランスのよい食生活による標準範囲の体重維持および運動(生活活動量を高めること)の重要性が示された。若年ダイエット趣向者および生活活動量との低骨密度に対する関連性が示され、さらには低体重を引き起こすようなアンバランスな食生活の問題も明かとなった。さらには、踵骨骨密度も腰椎骨密度と同様に簡便で安全性の高い方法として有用であることも示された。今後、若年女性の低骨密度を予防し、それを将来的には骨粗鬆症へと発展させることが重要であり、さらには最近の若年女性における痩せ願望によるアンバランスな食生活が見られる現状において若年女性に対する自己の健康管理への積極的かつ正しい姿勢について骨密度測定をも含めた教育的指導をさらに進めていくことの重要性が示唆された。
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