免疫系におよぼす運動の影響に関与すると考えられる情報伝達物質としてサイトカインに着目し研究を進めた。単球/マクロファージに関連するインターロイキン1β、腫瘍壊死因子、インターロイキン6、可溶性インターロイキン2レセプターについて健常者5名を対象とし、65%VO_2maxで30分間の自転車エルゴメーター負荷を行い、その変動を検討した。サイトカインの測定は、血漿サイトカイン濃度と、血球のサイトカイン産生能(全血培養法による)について実施した。血漿サイトカイン濃度ではIL-6濃度は負荷直後に増加傾向、SIL-2r濃度は負荷後に減少傾向を示したが、IL-1βとTNFα濃度は低値のため測定不可能であった。血球サイトカイン産生では負荷直後、IL-1βの産生が増加したものに、TNFαの産生も運動によって亢進することが示唆された。生体の状況に近い全血培養法による測定でIL-1βとTNFαの産生に増加が認められた。このことから、運動が免疫機能に与える影響の背景にはこのようなサイトカインが関与していることが示唆された。今後さらにサイトカインの作用する部位についての研究を進めたい。
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