研究概要 |
本研究は,ヒトを取り巻く環境中の種々の刺激,特に環境医学の面から興味の持たれる刺激-騒音,振動,拘束,過密,高湿,紫外線,高酸素圧など-を取りあげ,これらによる身体的,心理的ストレス状態においてメタロチオネインが生合成されるか否かを調べ,メタロチオネインの生合成がストレスの種類に依存するか否かを決定することを目的としている。 また,ストレスによって誘導されるメタロチオネインの性質,イソ蛋白組成,分布および組織中含有量の変動を調べ,この蛋白質のストレスにおける役割を解明することも,目的にしている。 本研究においては,特にメタロチオネインのイソ蛋白質の同定・定量法の確立に,努力し,ほぼその確立に成功した。すなわち,本研究費で昨年度購入したバイオクロマトグラフィー・システムを中心に,現有のイオン交換高速液体クロマトグラフを用いて,イソ蛋白質の同定・定量法を確立した。更に改良を加え,揮発性緩衝液を用い,操作を簡略化した。 また,Radioimmuno Assay法による定量法も試み,この方法も確立した。 環境中の刺激のうち,騒音,振動,拘束,飢餓をとりあげ,これらの刺激に曝露されたラットの肝臓中にメタロチオネインが生合成され,肝臓内のメタロチオネインの量が増加していることを証明した。 現在,上記のイソ蛋白質の同定・定量法を用いて,イソ蛋白組成の解析を行い,ストレスによって生合成される蛋白質の特性について調べている。
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