研究課題/領域番号 |
05454614
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
國井 秀伸 島根大学, 汽水域研究センター, 助教授 (70161651)
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研究分担者 |
杉村 喜則 島根大学, 理学部, 講師 (50032644)
高安 克己 島根大学, 汽水域研究センター, 教授 (00127490)
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キーワード | 景観 / 生物多様性 / 水質浄化 / 宍道湖 / ヨシ帯 / 水生植物 / 底生生物 / 河川 |
研究概要 |
河川改修や護岸工事、あるいは生活排水による有機汚濁の生物に対する影響を、水辺に生育する水生植物を軸として考察しようというのが本研究のねらいである。水生植物は、水辺景観の主要な構成要素であり、生物多様性を高め、さらに水質の浄化機能を持つ。このような水性植物を軸とすることにより、これまで景観生態学、群集生態学および環境分析化学の分野で別々に扱われてきた水辺の景観、生物多様性および水質について、統合的に扱うことができる。今回調査地として設定した3生物群系(宍道湖、ため池、河川)のうち、初年度は宍道湖におけるヨシ帯4ヵ所において、ヨシ帯の内部と外部、および浅い場所と深い場所の、底生動物の多様性の比較を中心に研究を進めた。5月、8月、11月の3回のデータから、全般的にはヨシ帯内部の方が外部よりも多様性が高い傾向が見られたが、ヨシ帯によっては内部の方が外部よりも多様性が低いこともあり、また多くの底生動物の個体数は大きな季節変化を示した。優占種であるヤマトシジミ稚貝の数は特に大きく変動した。底質は概ね内部の方が均質であった。これまでの調査から、宍道湖で景観決定に大きな役割を果たしているヨシ帯は、底生動物の住み場所としてよく機能している所もあればあまり機能していない所もあると言える。底生生物の個体数は空間的な変動もさることながら、季節変動あるいは年変動といった時間的な変動も大きいので、来年度以降も調査を継続し、底生動物の多様性とヨシ帯の関係を明らかにしたい。計画段階で設定した3群系のうち宍道湖以外での調査は来年度以降の課題として残された。ため池に関しては、水生植物相と水質および周辺の景観との関連について約50ヵ所の調査を行う。河川については、4ヵ所程度の適当な調査地点を設定し、それぞれの場所での上流と下流の水質の違いを検出したい。
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