本研究課題の目的は、動物地理学的に貴重な動植物が分布している対馬の自然環境保全と野生生物保護についての新しい技術の開発にある。具体的には生態系食物連鎖の最上に位置する3種(ツシマヤマネコ、ツシマテン、チョウセンイタチ)に焦点をあて、人間活動も含めた自然環境の修復、維持管理の方策を考える。2年度目である当該年度は、前年度に決定した対馬北西部の志多留・田の浜地域で、捕獲し、発振機をつけたツシマヤマネコ1頭とツシマテン2頭の連続したラジオトラッキングを行ない、行動圏の資料収集を行なった。また、同じ調査地で前年度の食性調査で最も重要な餌となっていた、ノネズミについての個体群密度とその月変動の調査を方形区生け捕りワナ法で行なった。次年度はこれらの野外調査結果と対馬全島の人間活動の資料から課題についての取りまとめを行なう予定である。
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