研究課題/領域番号 |
05454624
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研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
小出 武比古 姫路工業大学, 理学部, 教授 (60018695)
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研究分担者 |
徳永 文稔 姫路工業大学, 理学部, 助手 (00212069)
若林 貞夫 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (80148436)
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キーワード | プロテインC / プロテインC欠乏症 / 異常プロテインC / 遺伝子発現 / 293細胞 / 分泌異常 / 蛋白質の膜透過 / 蛋白質の細胞内移行 |
研究概要 |
先天性異常プロテインC遺伝子に起因する欠乏症および異常症発症の分子機構を解明すると同時に,タンパク質の膜透過・細胞内移行と分泌の分子機構を新しい角度から解明することを目的として以下のことを行った。 PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を用いたカセット法により、ヒトプロテインCcDNAのArg15のコドンを部位特異的に変異させ、得られた5種類の人工変異プロテインC(rHPC-Arg15Gly、Arg15Trp、Arg15Gln、Arg15LeuおよびArg15Pro)cDNAを発現ベクターpcD2-SRalpha中に組込み、リン酸カルシウム法によってヒト腎由来の239培養細胞中にトランスフェクトした後、一過性に発現させ、その細胞内(CE)量とメディウム中に分泌されたプロテインC(ME)量をELISA法で定量した。また、ステーブル239細胞を用いて、各組換え変異体の分泌速度を定量した。 結果:正常型(Wt)組換え体の発現量は、CE量とME量が、それぞれ1.37と46.0ng/dish/48hであった。各組換え変異体のCE量は、対Wt相対量が100〜219%で、正常ないし多少蓄積気味であったが、過剰な細胞内蓄積は認めなかった。一方、各組換え変異体のME量は、GlyおよびGln変異体が、それぞれ対Wt比42%および54%であるのに対して、Trp、LeuおよびPro変異体では12〜25%と少なかった。 また、ステーブル293細胞を用いたパルスチェイス実験で、細胞内から50%の抗原が消失する時間は、WtとGln変異体が3.2時間であり、他はそれより1.7〜2.4倍遅かった。 以上の結果から、プロテインCのArg15変異体は、置換アミノ酸残基によってその変異体の分泌にかなりの差があり、Trp、LeuおよびPro変異体では欠乏症、GlyとGln変異体では異常症となることが示唆された。
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