ミオシンがABの2種の頭部を持っていることはすでに明らかにされていたが、1つのミオシンがABの異なる頭部をもつのかどうかは明らかにはされていない。そこで、プロテインAを結合させた担体に抗体を結合させ、これにS-1ならびにミオシンがどのように結合するかを調べた。その結果、ミオシンはいずれの抗体によっても強く結合することから分子の大部分はABのヘテロマ-であることが示された。これまで、ミオシン2つの頭部の化学構造の違いはN末端から86番目の活性リジン残基周辺以外は調べられていなかった。そこで、頭部ABに対する抗体を用いてS-1のトリプシン分解の様式の違いを調べた。ミオシン頭部(S-1)はトリプシンで分解するとN末端から25K、50K、ならびに21Kの3つのペプチドに分解される。AB両抗体ともに86番目のリジン残基を含む25Kのペプチドと強く結合した。25Kペプチドは25K-50K連結部の2Kのペプチドを含む27Kペプチドを経て形成される。この27Kペプチドは抗B抗体では強く染色されるが抗あ抗体では殆ど染色されなかった。この結果は27K-50K連結部は頭部ABでその構造が異なっており、頭部Bでのみ25Kに2Kのついた27Kga形成されることを示している。ATPase活性部位は頭部の結晶解析から25Kと50Kの両ドメインにはさまれて存在しており、上記の結果はATPase活性中心の構造も頭部ABで異なることを示唆している。
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