研究課題/領域番号 |
05454638
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
相沢 慎一 帝京大学, 理工学部, 助教授 (50222451)
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研究分担者 |
大澤 研二 名古屋大学, 理学部, 助教授 (50203758)
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キーワード | バクテリア / べん毛モーター / 人工膜 / スイッチ・タンパク質 / 大量発現 / 急速凍結法 / ディープエッチ法 / タンパク質輸送装置 |
研究概要 |
本研究の目的であるべん毛基部体を人工膜に埋め込むにあたり、実際の基部体が細胞膜の中でどのような配置しているのか知ることは再構成系の成否を評価する上で大切である。今までべん毛の基部体の構造解析は主に単離した試料を用いて行ってきた。従来のべん毛基部体精製法の条件を少し緩和した方法では、べん毛基部体の最下部のベル状の構造体が結合していた。この構造体はCリングと呼ばれる。Cリングにはスイッチタンパク質が3つとも含まれていることからスイッチ複合体であることが明らかである。 私たちはべん毛の基部構造を膜から抽出しないで観察する方法を開発した。それは急速凍結法、ディープフリーズ法、レプリカ電顕法を組み合わせたもので、時間分解能および空間分解能が極めて高い方法である。細胞内部には多くの酵素の他にDNAがあり、ただ単に膜画分を取ってきたのでは膜表面は酵素やDNAに覆われて観察することができない。浸透圧ショックをかけて膜を分離すると内部がきれいに洗い流されることがわかった。 この方法により、私たちは初めて細胞の内側からべん毛モーターの構造を観察することに成功した。MSリングはほとんど膜の中に埋まっていた。Cリングは細胞質側にポット状に突き出ており、シグナルの受容体であるための条件を満たしていた。航空写真技術を応用したステレオ写真解析法によりMSリングおよびCリングの寸法を正確に計測した。 さらに、Cリングの中にロッド状の構造が新たに発見された。この構造は単離精製したべん毛基部体にはなかったものである。Cロッドと名付けた。状況証拠からCロッドはべん毛タンパク質専用の輸送装置の可能性が高い。Cロッドがべん毛の再構成にどのような影響を及ぼすかは今後の課題である。
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