研究概要 |
転写調節因子Rel/NFκBの活性はIκB蛋白質との複合体形成により制御されている。本計画は、細胞膜上受容体からNFκB-IκB複合体への情報伝達機構を解明することを目的としている。以下に示すように計画1及4は進展し、計画2及3についても準備が進んでいる。各研究実施計画に沿って報告する。 1。細胞外刺激前後におけるIκB,NFκB,Rel蛋白質の質的、量的な変化:本計画の第一段階である抗IκB抗体の調整に成功した。本抗体は、ウエスタンブロッテイング、免疫沈降ともに使用可能であり現在TNFα刺激前後におけるIκB蛋白質の質的、量的な変化について解析中である。またヒトT細胞白血病ウイルスの転写活性化因子TaxがNFκB-IκB複合体に作用してNFκBの活性化を誘導することを明らかにした。TaxがIκBのアンキリンリピート領域と相互作用することも明らかとなり、これらの結果は、NFκB-IκB複合体の活性化機構を解明するうえで重要な知見である。 2。TNFα受容体からNFκB-IκB複合体への情報伝達:TNFα受容体の細胞質領域の変異体の調整が終了し、現在NFκB-IκB複合体の活性化に必要な領域を同定している。 3。新しいIκBのクローニング:ウエストウエスタン法にプローブとして用いるNFκBp65蛋白質の精製を完了した。現在、種々の細胞破壊液を用いたウエストウエスタン実験により数種の蛋白質を新しいIκB蛋白質の候補として同定している。 4。ラット染色体におけるrel/IκB関連遺伝子の位置:IκBγ遺伝子がラット第2染色体上に存在していることが明らかとなった。ラット第2染色体は種々の白血病において異常が報告されており癌化のメカニズムとの関連が注目される。
|