微小管は、細胞分裂期(M期)には紡錘体を形成し染色体分配に必須の役割を果たし、間期には細胞質微小管ネットワークを形成し種々の細胞機能に関与する。微小管の細胞周期に依存した構築変換の分子メカニズムを明らかにするために、我々はM期に活性化する微小管切断因子の同定と精製を進め、XenopusM期卵からp48という蛋白質因子を精製することに成功した。p48は、ATP非依存的に微小管を素早く切断しうる因子であり、p48による微小管切断は微小管の顕著な脱重合を引き起こさなかった。このようなp48の性質は、ごく最近Valeにより報告されたカタニン(Katanin)とは全く異なっていた。精製したp48を培養細胞にマイクロインジェクシヨンしたところ、間期微小管の一過的崩壊が引き起こされた。このことは、p48が細胞内でも微小管を切断する機能を有していること、またその機能を制御する機構が存在することを示している。精製p48の部分アミノ酸配列を決定したところ、p48はXenopusポリペプチド鎖伸長因子1α(EF1-α)であることがわかった。ヒトFE1-αの組み換え体を大腸菌に発現させ精製し、微小管と反応させた場合微小管の束化と切断が起こった。したがって、EF1-αが微小管切断活性を有していることが示された。EF1-αは間期細胞から精製しても、微小管切断活性を有していたが、間期細胞抽出液には切断活性は検出できなかった。このことは、間期細胞においては、EF-1αの活性を阻害する因子が存在する可能性を示唆している。
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