研究概要 |
(1)ベクターの開発とcDNAライブラリーの作製 本年度はまず高効率な機能相補クローニングのための独自のベクター系を作製した。分裂酵母で発現させるためSV40プロモーター、flオリジン、T3/T7RNAポリメラーゼプロモーター、独自のマルチクローニングサイト、ARS、LEUマーカーなどを持つベクター(pLZ3)を作製した。パン酵母で機能発現させるためInvitrogen社のpYES3に独自のマルチクローニングサイトを挿入したものを作製した(pSY3およびpRY3)。これらはUra3,2μ ori,fl ori,GAL1,Ampなどの遺伝子やマーカーを持つ。これらをベクターとして独自に工夫したリンカープライマー法により各種のcDNAライブラリーを作製した。 (2)cdc10などを宿主とした機能相補クローニング cdc10を宿主として分裂酵母cDNAライブラリーより単離したres1はパン酵母のSW14にアミノ酸が類似したアンキリンモチーフを2つ持つ蛋白質をコードし,Cdc10と複合体を構成する新規転写因子であった。亜鉛フィンガー1個とCDC36(パン酵母のG1変異株)類似配列を持つ蛋白質をコードし,そのmRNAは減数分裂に伴って大量に転写され始めるrep1はpremeiotic DNA synthesisの過程に重要な働きをすることがわかった。パン酵母から単離されたHAC1はゲルシフト法によっても証明できたようにbZIP型のCREB-likeな転写因子をコードする。その破壊株はカフェイン感受性を示しそのmRNAはG1期に転写量が増大する。cdc2,cdc13変異株を相補するヒト由来の13B68は、核マトリックス蛋白質(マトリン)モチーフを持ち同時に減数分裂過程の変異株pat1をも相補する。RNA結合蛋白質モチーフを2個ずつ持つscr2とscr3はcdc2の翻訳を誘導することで相補していることが分かった。
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