研究課題/領域番号 |
05454647
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
野島 博 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (30156195)
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研究分担者 |
小野 泰子 大阪大学, 微生物病研究所, 教務職員 (70194602)
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キーワード | Cdc10 / 分裂酵母 / 出芽酵母 / 多コピー抑圧遺伝子 / CRE B / Znフィンガー / 機能相補 / 転写制御 |
研究概要 |
真核生物における細胞増殖と分化(減数分裂)の接点における分子制御機構に関わる因子を単離する目的で分裂酵母のスタート近傍の変異株であるcdc2およびcdc10変異株を機能相補する多コピー抑圧遺伝子を分裂酵母、出芽酵母、ヒト(Hela)細胞のcDNAライブラリーを用いて幾つかクローン化し、塩基配列を決定した。その大半(分裂酵母の場合)はcdc10^+/2^+遺伝子そのものであったが、出芽酵母、ヒトからはCdC2^+相同遺伝子はクローン化されたもののcdc10^+相同遺伝子はクローン化されなかった。分裂酵母からクローン化された新規遺伝子(rep1^+と命名)はZn-フィンガーを持つ転写因子で、その5'上流にTRボックスを持つ。減数分裂過程において転写の激増する減数分裂関連遺伝子である。その破壊株を作製して調べてみると、前減数分裂DNA合成の直前で停止した減数分裂の阻害された表現型を示した。一方、出芽酵母からクローン化されたcdc10の多コピー抑圧遺伝子であるAAC1はCREBに類似のbZip構造を持つ転写因子である。ゲルシフトアッセイにより、その遺伝子産物は確かにCREモチーフに特異的に結合した。AAC1遺伝子もその5'上流にT4Cサイトを持つ減数分裂過程において2つのピークを示す転写量の変動を示す減数分裂関連遺伝子である。その変動はSW16の破壊株では正常だがAWI4の破壊株ではピークが消えて変動しなくなることからSWI4による転写制御を受けていると考えられる。HAC1の破壊株は成育その他には何の影響も示さなかったがカフェインに対する生育阻害を示した。その阻害効果はPDE2の発現により回復したことからcAMP濃度上昇→cAMP依存性蛋白キナーゼの活性化→AAC1リン酸化→標的遺伝子転写制御→増殖・減数分裂制御という図式が考えられるが、その実際は現在解析中である。これら因子とCdc10蛋白との相互作用の有無とその機能の解析が今後の課題である。
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