研究概要 |
我々は細胞増殖を制御する以下に列挙するような新規の遺伝子を幾つかクローン化してきた。 1.NIK1;分裂酵母のcdc2変異を相補する出芽酵母のcDNAでmRNA量がG1/S期でピークを持つ細胞周期性振動を繰り返す。その遺伝子産物は1518アミノ酸という酵母では非常に希なサイズの大きい蛋白質で分裂酵母のWeelを標的としてG2/M期を制御するNim1に類似のSer/Thrタイプのキナーゼモチーフを持っているところからNIK1(Nim1-Kin1,Kin2-like kinase)と命名した。過剰発現させたMIK1はnim1変異株を機能相補し、NIK1遺破壊株はG2期の遅延を生じ、細胞が異常に伸びた形態を示したところからNim1のホモログと結論した。 2.サイクリンG結合蛋白質;West-western法によりサイクリンGと結合する新規のSer/Thrキナーゼをコードする遺伝子のクローン化に成功し、それをGAK(cyclin-G-associated kinase)と命名した。GAKはN末端側にCdk2と類似のキナーゼドメインを持ち、C末端側にアクチン結合性のテンシン(Tcnsin)、あるいはクラスリ(clathrin)に結合する機能未知のオ-グジリン(auxilin)とも強い相同性を示すドメインを有する。GAKの機能解析を継続中である。 3.複製ライセンス因子;ヒトおよびツメガエルの複製ライセンス因子を構成する6つの蛋白質(xMcm2-7,hMcm2-7と命名)の遺伝子クローニングに成功し、複製ライセンス因子は確かに存在してほぼラスキーのモデルに合致する挙動を示すこと、それら酵母において複製制御に関わるものとして分子遺伝学的に解析されてきたMcm2,3,5のホモログであることを見い出した。
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