(1)ラット由来zif268遺伝子のプロモーター領域の下流にβ-ガラクトシダーゼ(β-gal)レポーター遺伝子を組み込んだプラスミドを作製した。(2)PC12細胞の亜種であるPC12D細胞をNGFやcarbacholで刺激した場合、MAPキナーゼおよびraf-1キナーゼが迅速に活性化されることをウエスタンブロット法や、in vitroとin gelキナーゼ測定法等により明らかにすることができた。NGF刺激の場合と違い、carbacholによるMAPキナーゼやraf-1キナーゼの活性化はC-キナーゼを必要とすることも証明した。予想以外なことには、NGFやcarbacholの刺激によるraf-1キナーゼの活性化やraf-1キナーゼの燐酸化は同刺激によるMAPキナーゼの活性化と燐酸化より遅く起こることが判明した。この結果よりPC12D細胞には、MAPキナーゼの上流にRaf-1キナーゼの変わりに働く他のキナーゼが存在することが示唆される。そのキナーゼの候補者としては昨年Johnsonらにより発見されたMEKKが考えられる。 3)zif268遺伝子の発現誘導やMAPキナーゼの活性化に関するRaf-1キナーゼの役割を明らかにするために、Raf-1キナーゼのdominant-negative mutantをコードする発現ベクターを作製した。
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