1.モノクローナル抗体を用い、選抜交配中の癌休眠マウス(DDY-drm)のリンパ球表面抗原を調べるとH-2ハブロタイプはsであった。一方、対照マウス(DDY-prg)のそれもH-2ハプロタイプはsであった。 2.Ehrlich腹水癌(EAT)細胞で免疫したDDY-drmの脾細胞をDDY-prgの静脈内に移入し、DDY-prgマウス皮下におけるEAT増殖速度を観察した。その結果、EATの増殖は抑制され、いわゆる養子免疫が確実に成立することが確認された。 3.代表的なH-2ハプロタイプのマウス系統にEATを皮下移殖し、その増殖性を調べると、DBA/2(H-2^d)、C3H(H-2^k)、AKR(H-2^k)、CBA(H-2^k)、DBA/1(H-2^q)ではEATは増殖し固形癌を形成したが、C57BL/10(H-2^q)、BALB/c(H-2^d)、NZB(H-2^d)、A(H-2^a)、SJL(H-2^s)では退縮した。 4.上記EAT退縮系マウスのLyハブロタイプはLy-1.2およびLy2.2であり、一方、EAT増殖系マウスのそれは、Ly-1.1(ただし、AKRは例外でLy-1.2)およびLy-2.1という共通性があった(ただし、これが決定的意味を持つかどうかは不明である)。
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