マイクロサテライトDNAマーカーによるラットII型糖尿病遺伝子座の染色体マッピング

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05454688
• 研究機関: 徳島大学
• 研究代表者: 松本 耕三 徳島大学, 医学部, 助教授 (00002246)
• キーワード: rat / microsatellite / diabetes / chromosomal mapping

研究概要

本年度はII型糖尿病ラット(OLETF)と正常ラットF344とのF2を作製し、25週目でF2の血糖値を測定した後の肝臓からDNAを抽出した。匹数は今回約100匹であった。若干少ないので今後約60匹を追加する予定である。
マイクロサテライトプライマーに関しては当初約60セットほどのプライマーを合成した。それらマイクロサテライトのOLETFとF344間との遺伝的多型の調査を行なった。今回の調査で60セットのうち,約20セットのプライマーがOLETFとF344間で遺伝的多型を示した。さらにそれらは幸に各染色体に1ヶの割合で分布していたので、それらを利用してF2ラットDNAの解析を行なった。マイクロサテライトの増巾には今回購入したDNA増巾装置(Techne)を用いた。各プライマーにより、PCRの温度条件、Mg^<++>濃度条件が異なり、このため一度に大量に処理することは困難であった。これまでそれら約20セットのプライマーによる遺伝的多型は作製したF2の50匹についての解析が修了している。
また一部については100匹まで解析が進んでおり,それらについては糖尿病(高血糖)とのリンケージテストを行なった。しかし、現在のところ糖尿病とのリンケージは見出されていない。複数遺伝子支配の場合のリンケージテストのためにはまだ多くのマーカー数を必要とし、今後少なくとも各染色体に、程よい距離で3〜5ヶのマイクロサテライトマーカーが必要と考える。そうするとあと200セット〜300セットのプライマーについて、OLETFとF344との遺伝的多型を調べなくてはならない。現在約120セットを追加し、そられについて両系統間の多型を調整中である。

研究成果

• [文献書誌] Muramatsu,Y.: "A chromosomal assignment of the gene for rat protein phosphatase 1g1 (PSp1g1)." Cytogenet.Cell Genet.(In press).
• [文献書誌] Miura,M.: "Chromosome assignments of genes for rat ceruloplasmin(CP) and metallothionein(MT)." Cytogenet.Cell Genet.65. 119-121 (1994)
• [文献書誌] Sakai,T.: "Maturational arrest from CD4^+8^+ to CD4^+8^- thymocytes is caused by the bone marrow-derived cells in LEC mutant rats." Immunol.Lett.38. 145-152 (1993)
• [文献書誌] Muramatsu,Y.: "Chromosomal assignments of genes for rat glutathione S-transferase Yb1(GSTA3) and Yb2 subunits(GSTA4)." Cytogenet.Cell Genet.63. 141-143 (1993)
• [文献書誌] Yamada,T.: "Inhibition of the copper incorporation into ceruloplasmin leads to the deficiency in serum ceruloplasmin activity in Long-Evans Cinnamon mutant rat." J.Biol.Chem.268. 8965-8971 (1993)
• [文献書誌] Sakai,T.: "Dissociation of the interleukin-2 production from the cell activation in response to the mitogenic lectin in peripheral CD4^+ T cells of LEC mutant rats." Immunology. 79. 491-497 (1993)