研究課題/領域番号 |
05454689
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
米田 嘉重郎 東京医科大学, 医学部, 助教授 (90074533)
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研究分担者 |
芹川 忠夫 京都大学, 医学部, 教授 (30025655)
金沢 真雄 東京医科大学, 医学部, 講師 (10147184)
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キーワード | 1型糖尿病 / LETLラット / 遺伝 / 膵島炎 / マイクロサテライトマーカー |
研究概要 |
本研究の目的は、国内で最近開発されたLETLラットにおける膵島炎ならびに1型糖尿病発症に関与する遺遺伝子を、連鎖解析により染色体上にマップピングすることにある。本研究は平成5〜6年度の2年間で、平成6年度研究実績の概要はつぎのとおりである。 1.平成5年度に引き続き連鎖解析用の動物として最終的に、a:[LETO x LETL/Tky]x LETL/Tky--191匹、b:[TM x LETL/Tky]x LETL/Tky--168匹、c:[BN×LETL/Tky]× LETL/Tky--57匹、合計416匹の戻し交配分離個体を作出した。いずれの交配組み合わせにおいても1型糖尿病の発症率が約30%で、かつ発症個体のすべてに重度の膵島炎が確認された。なお、いずれの交配組み合わせにおいても、F_1では発症を認めなかった。膵島炎(軽度〜重度)の発現はa)とb)の系(ラットのMHCであるRT1がLETLと同じuハプロタイプ)ではそれぞれ45.5、51.2%であった。c)の系(LETLと異なるRT1^n)でも33.3%が膵島炎を呈した。これらのことから、膵島炎の発現にはRT1^u連鎖の遺伝子以外に少なくとも2個の劣性遺伝子が関与し、そのうちの1個は膵島炎の重度化に重要な働きをしていると考えられた。 2.1.b)の系168匹の戻し交配分離個体について、各染色体に分布している約100のマイクロサテライト多型(SSLP)マーカーのタイピングを行い連鎖解析を実施した。その結果、推定した膵島炎の発現に関与している2個の劣性遺伝子が、第8と第11染色体上に存在するが明らかとなった。 3.発症したLETLラットの繁殖成績は劣悪であったため、戻し交配分離個体の作出が計画よりおくれた。 そのため、現在、2.a)とc)の系について連鎖解析のための膵島炎の検索ならびにSSLPマーカーのタイピングを継続中であるが、b)の系と同様の結果が得られる見通しである。 本研究により明らかになりつつある第11染色体上に存在し膵島炎発現に関与する遺伝子は、ラットとマウスおよびラットとヒトにおける遺伝子配列の相同性から、マウスおよびヒトにおいても今までに発見されていない新しい1型糖尿病発症遺伝子と考えられる。
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