研究課題/領域番号 |
05454690
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研究機関 | (財)実験動物中央研究所 |
研究代表者 |
大西 保行 (財)実験動物中央研究所, 腫瘍研究室, 研究員 (70201382)
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研究分担者 |
山本 直幸 (財)実験動物中央研究所, 遺伝研究室, 研究員 (20250011)
加藤 秀樹 (財)実験動物中央研究所, 遺伝研究室, 研究員 (30142053)
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キーワード | ヒト癌 / ヌードマウス / Xenograft / フィンガープリント / 抗癌剤スクリーニング |
研究概要 |
新規抗癌剤のスクリーニングなどの薬効評価の動物実験材料として免疫不全動物移植ヒト腫瘍株を利用する場合には、実験材料/実験動物/動物実験の再現性、信頼性の保証が、ヒトにおける臨床試験の科学性と倫理性を確保するうえで必要最低限の条件である。いっぽう、本移植株は、病原微生物に対する抵抗性の弱い宿主マウスに移植され、かつ、異種の細胞が混ざった組織であるので、細胞の微生物汚染やマウス腫瘍細胞への変化の危険性が絶えず付きまとう。また、株の取り違えなど人為的な間違えの危険性もある。本研究では、これらの問題に対処するために、ヒト腫瘍株が動物実験材料として具備すべき条件や項目、管理方法の検討することを目的として、本年度は以下の検討を行なった。1。抗癌剤評価に用いるヒト腫瘍株のレファレンス株の吟味と凍結保存の整備。我々がこれまで検討してきた約80株のヒト腫瘍株からなる抗癌剤感受性パネルからスクリーニングに多用される株について、薬剤感受性や組織学的検討によって基準となる株を選び、1ロットの大量凍結保存を行なった。このことにより腫瘍細胞株の定期的入れ替えの体制が整備できた。2。細胞の種の識別。アイソザイム検出法を応用し、腫瘍細胞の迅速的な動物種の鑑別法を開発した。また、我々が維持している400株のヒト腫瘍Xenograftsのうち一部の腫瘍株がマウス腫瘍に変化していることを摘発した。3。腫瘍細胞株の個別的鑑別。DNAフインガープリントのサザンハイブリダイゼーション法により、上記のヒト腫瘍株の個別的鑑別を行なった結果、これらの細胞株は株特異的なパターンを示した(ie。薬剤感受性パネル腫瘍間での株の取り違えを否定した)。 今後、各研究機関に対し、基準株を分与し、定期的な入れ替えを行なうことにより、本ヒト腫瘍株を用いた抗癌剤評価の再現性を向上させることができると思われる。
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