1.PTFE基板上でのフェライト膜の作製と動物実験 人工血管と同じ材質(PTFE)を用いて、フェライト膜との付着力を高める為のプラズマ処理条件を検討した。酸素プラズマ中でプラズマ処理する事により膜と基板との付着力が増大する事がわかった。このシート状のPTFEを用いてFe_3O_4膜のメッキ条件を検討した。作製温度と溶液のpHにより生成相が異なる事が明かとなり、それぞれの作製温度に適したpHの値を選択する事によりFe_3O_4膜を作製できる事がわかった。人工血管の内壁にフェライトメッキするためのフェライトメッキ装置を構築し、メッキ条件を検討している。また、フェライトメッキしたシート状のPTFEを用いて動物実験を行っている。 2.フェライト膜のPTFEに対する付着力の増大 実験1において、PTFEをプラズマ処理することによりフェライト膜との付着力が増大することが判ったが、プラズマ処理だけでは実際に使用する際に必要とされる付着強度は得られないことが判った。そこで、テフロン化合物の弗素イオンをOH基と置換しテフロン化合物の一つであるPTFEとフェライトとの付着力を増すことを目的として、テフロン表面を波長200nm以下の光で照射した。まず、基礎実験としてテフロン基板表面に置いた水滴の接触角を測定した。照射前は接触角は180゚であったが、照射後は40゚まで減少させることができ、光照射により基板の濡れ性を改善できることがわかった。現在この基板を用いて作製したフェライトメッキ膜の付着力を評価している。また、フェライト膜の付着力の増大と体内での安定性を増すためにPTFE上に作製したフェライトメッキ膜の上にテフロンの薄膜をコートするための条件を探査している。
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