研究課題/領域番号 |
05455003
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
布田 潔 秋田大学, 鉱山学部, 助教授 (80181428)
|
研究分担者 |
松永 利昭 秋田大学, 鉱山学部, 教授 (40006309)
|
キーワード | ハイドロタルサイト類似化合物 / 結晶構造 / 赤外線吸収測定 / 熱分解特性 / 光分解特性 / 亜鉛 / ガリウム / クロム |
研究概要 |
平成6年度は計画の最終年度に当たり、昨年までの実験データをもとに亜鉛を含むハイドロタルサイト類似化合物(以下HT1cと略記)の結晶化学の面から検討を進める一方、熱分解特性に関し、各温度での焼成体の再水和-アニオン吸着特性に関する実験的検討を加え、その特異性とその起源について研究を進めた。得られた主な研究成果を以下にまとめる。 (1)Zn/Al-ハイドロタルサイト類似化合物の結晶構造解析: リ-トフェルト法による粉末X線回折パターン解析、FT-IRスペクトルの解析によりこの系の結晶構造パラメータをZnとAlの組成比と関連付けながら引出し、結晶化学的に検討した。その結果、この系では通常のハイドロタルサイト類似化合物(以下HTlcと略記)に比べ、基本骨格となるブルーサイト様層を構成する水酸基八面体の構造がc軸方向に比較的強く圧縮され、八面体の偏平の度合いが高いこと、そして、Zn:Al=2:1の組成で規則相が出現することが明らかになった。 (2)Zn/Al-HTlcの熱分解挙動と焼成体の無機アニオン吸着特性の検討: Zn/Al-HTlcの熱分解について昨年までに、Mg/Al-HTに比べ脱水分解反応が低温で進行し、逆に炭酸イオンの分解が高温域で起こることを明らかにしたが、本年度はこのような熱分解特性が焼成体の再水和-アニオン吸着反応にどのように影響を持つかを調べ、Mg/Al-HTとの相違を検討した。この結果、再水和-アニオン吸着反応は250度から750度の範囲で焼成した場合にのみ起こるが、その量は未分解炭酸イオンの残存量が多いものほど多く、完全分解とともに反応は起こらなくなることがあきらかになり、Mg/Al-HTと顕著な違いが明らかになった。 昨年の成果も含め、新たに得られた知見を総合し、亜鉛を含むHTlcはMg/Al-HTと構造上類似するものの、その性質は亜鉛イオンの特性を反映し、幾つかの面で、明らかに異なる性質を有することがわかった。
|