二酸化炭素(Co2)は、我々の太陽系において最も重要な物質の一つであり、近年大気中の気体Co2の増加による地球温暖化現象の要因として、地球環境上からも注目を集めている。しかし、液体および固体Co2の基礎的物性や高圧力下の物性については、信頼できるデータがほとんどなく、物理、化学、地球物理学、環境科学、等の分野からその研究展開に期待がよせられていた。以上の観点から、平成5-6年度に交付された科学研究費補助金により、レーザー・ブリルアン散乱による音響フォノン・スペクトロスコピーを用い、液体および固体Co2の超高圧物性の研究を行った。 主たる成果は、Co2の圧力-温度相図、音速、屈折率、弾性定数の圧力依存性、そして状態方程式等の基礎高圧物性を決定したことである。さらに、Co2と類似の物質であるN2Oについても同様の研究を行い、Co2とN2Oの相互の理解を深め、凝縮系の分子ダイナミクスに考察を加えることができた。 成果として特記すべきことは、上述の結果をアメリカ物理学会とアメリカ化学会がそれぞれ発行している著名な論文誌、Physical Review(B)とJournal of Physical Chemistryに掲載し、世界中から注目され高い評価を受けたことである。
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