研究概要 |
沖縄トラフ内で,東シナ海大陸棚外縁寄りの地域から北緯約32度から26.5度にかけて採取した9本のピストン・コアの堆積学検討を終了した.最終永期から現在にいたるまで,大陸河川が運んだ砕屑物の顕著な関与は認められなかった.つまり,そのほとんどは大陸棚上に沈着してきた.しかし有機窒素・炭素比(C/N比)は氷期以降漸減している.これは漂流してきた陸上植物中の混入が漸減していることを示唆する.また黒潮主軸の特徴的浮遊性有孔虫Pulleniatinaグループは現在に向けて急激に増加する.最終氷期に南琉球弧が陸橋を形成していたため,黒潮がトラフ内に流入できなかったものが,陸橋消失に伴い,現在見られるようにトラフ内に流入し始めたことを指示する.さらに約3800年前後の数百年間にわたって黒潮流入が阻止された点を発見。
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