研究課題/領域番号 |
05455022
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
片岡 一則 東京理科大学, 基礎工学部, 助教授 (00130245)
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研究分担者 |
桜井 靖久 東京女子医科大学, 医用工学研究施設, 教授 (20010027)
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キーワード | ポリエチレングリコール / ポリアスパラギン酸 / ブロック共重合体 / アドリアマイシン / 高分子ミセル / ヘテロ二官能性オリゴマー / 薬物ターゲティング / 制ガン剤 |
研究概要 |
(1)ヘテロ二官能性ポリエチレングリコール(PEG)とポリアスパラギン酸(PAA)とのAB型ブロック共重合体の合成を、(i)エチレンオキシドの重合とそれに引き続くend-coupling反応によるヘテロ二官能性PEGの調製、(ii)ヘテロ二官能性PEGの末端一級アミノ基からのbeta-Benzy1 L-aspartateN-carboxy anhydride(BLA-NCA)の重合という2段階で行なった。得られたブロック共重合体は脱ベンジル化の後に、アドリアマイシン(ADR)をアミド結合を介してPAAセグメントに導入した。この反応においては、PAAセグメントのカルボキシル基を完全に酸型としておくこと、また、ADRの導入反応中のpHを一定に保つことが副反応を防ぐ為に極めて重要であることが判明し、pHスタットの活用によってスムースに研究を進めることができた。ヘテロ二官能性ポリエチレングリコール(PEG)についてはほぼその合成法を確立したが、滴定より一部の末端アミノ基がエチレンオキシドの付加によって2級あるいは3級アミノ基に変換されていることが判明した。その量は僅かではあるがNCAの重合に影響を及ぶすことが予想された為、イオン交換カラムによる精製を行い、1級アミン末端尾PEGのみを単離精製することができた。 (2)得られたミセルについては詳細な特性解析を行った。特にミセルの安定性については、外殻のPEGセグメントの長さ及びPAAセメグメントに導入するADRの量が大きな影響を及ぼすことが判明し、安定なミセルを得るための構造設計の指針を得ることができた。 (3)高分子ミセルの腫瘍臓器への分布を明らかとすることは、標的指向性を考える際に重要な基礎データとなる。今年度はこの問題について系統的な研究を展開し、ミセルの安定性と血中半減期の延長との間に密接な相関関係が成立することを見い出した。また、細網内皮系への取り込みも著しく抑制されることが明らかとなった。
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