今年度は研究の初年度でもあり、まず、関係文献の収集、分析を行なうと共に、各種フォーラムへの参加、情報関係学部の視察等を通して、パソコン通信の現状、問題点等についての把握に努めた。 パソコン通信利用者の利用状況調査については、予想されていたことではあるが、回答の収集にはかなりの困難が伴い、被調査者を減少せざるをえない面がでてきた。この意味での調査数の減少はあるもの、その範囲と数をかなり限定してインテンシブな聞き取り、記述等によって、当初の目標である利用者のパソコン通信利用状況およびその社会的背景をも含めた立体的把握に努めることとした。ただし、可能な限りケースを増やすという意味で、状況によっては次年度以降も同様な方法で調査を継続してゆくつもりである。その前提となる大手ネットの状況については、文献、聞き取り、その他の資料によって把握を進めた。 なお、この種の研究は日本国内においてもまだほとんどなされていないため、研究のフレームワークの検討およびパソコン通信・草の根BBSの実態研究を進める上での比較・参照のため、米国におけるそれらについての研究論文であるスティブ・シスラー著「コミュニティ・コンピュータ・ネットワーク」を派生的補完研究として訳出した。設備備品費で購入したノートパソコンは、被調査者の調査結果の整理、パソコン通信での利用と大いに活用しているが、この種調査には必須のものであると実感している。次年度以降も活用が期待できる。
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