研究課題/領域番号 |
05504001
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研究機関 | 高エネルギー物理学研究所 |
研究代表者 |
池田 進 高エネルギー物理学研究所, ブースター利用施設, 教授 (80132679)
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研究分担者 |
福井 幸男 応用光研(株), 係長
大友 季哉 高エネルギー物理学研究所, 助手 (90270397)
伊東 一幸 広島大学, 理学部物性, 助教授 (40033914)
樫田 昭次 新潟大学, 理学部物理, 教授 (80018671)
三沢 正勝 新潟大学, 理学部化学, 教授 (80005941)
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キーワード | 中性子散乱 / 中性子コンプトン散乱 / 中性子共吸吸収 / 不純物 |
研究概要 |
本研究は、高エネルギー物理学研究所のパルス中性子源(KENS)から得られる高強度のeV領域の中性子を使って、世界に先駆けて、開発研究を進めてきた中性子コンプトン散乱法並びに中性子共鳴吸収法の実用化を目的としていた。昨年度までにおいて、一応の実用化に成功し、今年度は、二つの装置の最終的な調整と、これらを用いた標準実験を行った。 中性子コンプトン散乱装置(RAT)にあっては、物質中の水素の基底状態の波動関数Ψo(r)の空間分布が測定できるようになっており、先ず、KHCO3の水素の波導関数に関する研究が行われた。この結果、理論研究の中で予想された結果が得られ、水素結合物質中の水素は、モ-スポテンシャルを基調とする対称ポテンシャルに一次の非対称ポテンシャルを加えたもので表わされることが確認された。 DOGでは、非常に微小な試料において、特定の原子運動を抜き出して観測するようになり、次のような性能検証実験を行った。1つは、半導体Sb/Siで行った。これによって、半導体中の0.001%程度の希薄な不純物Sbの濃度を決めること、不純物原子Sbの運動状態の温度変化を観測することに成功した。第2に、レーザーで不純物状態を励起させ、不純物における電子-格子相互作用の有無の直接研究を行った。以上2つの実験研究から、DOGは、不純物研究という全く新しい研究分野を開拓する可能性をもった装置であること、そして、さらに、非破壊検査や微量分析という工学的応用面でも活躍が期待できる装置であることが明らかになった。 さらに、この開発研究で作り出された種々の検出器、タイムアナライザー、自動温度制御システム、自動角度制御システム、監視システムは、その有用性が広く認識され、すでに他の中性子散乱装置でも応用されるところとなっている。
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