研究概要 |
全般的に見て,研究は順調に進捗している.基本設備であるワークステーションとデジタル信号処理システムは,LANを通じて接続され,プロセスモデルの構築とそれをもとにした計測や制御が可能になった.多点温度計測システムと回転式切削動力計は,既存のNC工作機械に取り付けられ,オンラインでの精度の高い切削力の計測が可能になった.既存のAEセンサと組み合わせることにより,作業状態の認識を行なっている.また,リアルタイム軌跡修正システムと力覚センサシステムは,既存のロボットマニピュレータに装備され,タクタイルセンサシステムなどの計測装置とともに,力制御系を構成している.力情報を解釈することにより,作業状態の認識と運動の補正が可能になった. プロセスモデルの構築に関しては,ボールエンドミルによる切削工程,変形しやすい部品のハンドリング工程,ワークの取り付け工程などを対象にして,プロセスモデルを構築し,ワークステーション上に実装した.熟練機能の調査・分析に関しては,きさげ作業を対象にして聴きとり調査とその結果の分析を行ない,きさげ作業の熟練モデルを提案するとともに,模擬きさげ実験装置を試作し,モデルの検証実験を行なった.学習アルゴリズムに関しては,メモリベース学習をもとにしたアルゴリズムを開発し,加工プロセスシミュレーションを組み込むことにより,ボールエンドミル加工プロセスの学習に適用した.以上の基礎的な成果をもとに,熟達マシンの基本仕様を決定しているところである.
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