研究概要 |
研究はほぼ順調に進捗した.まず,人間の熟達過程の解明のために,手作業型の代表であるきさげ作業を分析した.きさげ作業において熟練の主要な要素として,面形状把握,作業計画立案,除去作業(きさげ)があることを明らかにした.さらに,模擬作業実験によって,熟練過程において作業対象のイメージの形成することの優位性を明らかにした. 次に,3次元測定機を既存設備と接続し、熟達型工作機械のプロトタイプを構築した.熟達型工作機械は,モデルベース制御による作業設計機能と,加工結果からのプロセスモデルの学習機能を有する.これにより,作業状況の予測に基づく作業計画と,作業経験の蓄積・利用という熟練オペ-レータの有する機能の基礎的な部分が実現された.従来ボールエンドミル加工では行なわれていない,切削3分力のモデルと幾何モデルを有する加工シミュレーションシステムを開発した.また,予測が困難である斜面の加工においても,加工経験を積むにしたがって,予測精度を向上させることが可能である. さらに,フォーストルクセンサを既存設備と接続し,熟達型マニピュレータのプロトタイプを構築した.熟達型マニピュレータは,センサフィードバックが可能なマニピュレータと人間の技能的運動を計測する装置,ならびにモデルの構築や作業計画を行なうためのワークステーションとから構成されている.変形しやすい管状部品の挿入作業では,人間の技能的な運動をもとに,作業を実行させる手法を適用した.この作業に対しては,技能運動の計測装置により,人間の技能的な運動の特性が抽出できること,人間の技能的な運動を参照しつつ,マニピュレータが作業を実行できることを確認した.
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