研究課題
試験研究(A)
Fe-Ni-Mn制振合金の交通機関への利用に関する研究は、平成5年度科学研究費試験研究の対象として認められ、3年計画で開始された。初年度はレールとしての強度向上を目的とした温間加工や冷間加工の効果、制振性向上のための合金成分の調整、試作鋼の溶解修件と特性評価などの検討が行われた。平成6年度は大型試験溶解による製造上の問題点やインゴットの熱間鍛造性を調べたのち、大同特殊鋼に溶解、鍛造、熱処理を含む全長11mにおよぶ鍛造ブーム2本の製造を依頼し、これらを三井造船岡山製造所に移送してプラノボーラにより新幹線用60kgレールに削出した。実験線によるレール実験は平成7年2月7日に落重試験、同2月8日に走行実験が行われた。落重試験は衝撃荷重最大約30ton、加振力100kN以上に達し、一方モーターカ-走行実験では試験レール直前でエンジンを停止し、約20km/nrの低速走行による振動と直近騒音レベルの測定を行った。またインパルスハンマー試験については、レール締結時のほかフリービームによる実験も実施した。さらにコルゲーション(レール表面に生ずる波状摩耗)実験では、本合金の優れた特性が明らかになった。平成7年度は主として前年度走行実験のデータをもとに振動解析が行われ、その結果通常の60kg標準レールに比べて騒音レベルは5dBも低下することが確認された。これは当初目標を大幅に上回る結果であり、本試験研究の中核的成果として報告申し上げる次第である。これら成果の一部はすでに学会に発表ずみであるが、本格的な発表の時期は鉄道事業の公共性に配慮して慎重に検討中である。
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