森林地域における酸性雨等地球環境モニタリング体制の確立

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05506001
• 研究機関: 山形大学
• 研究代表者: 藤原 滉一郎 山形大学, 農学部, 教授 (00001503)
• 研究分担者: 酒井 徹朗 京都大学, 農学部, 助教授 (10101247) ; 中田 誠 新潟大学, 農学部, 助教授 (80217744) ; 塚原 初男 山形大学, 農学部, 教授 (30007083) ; 梶 幹男 東京大学, 農学部, 教授 (00152645) ; 笹 賀一郎 北海道大学, 農学部, 教授 (70125318)
• キーワード: 樹木フェノロジー / 環境傾度 / 酸性雨 / 樹幹流 / 森林土壌 / 長期モニタリング / 大学演習林

研究概要

1.全国的な研究集会を4月と9月に開催し,
1)データ量の多い観測結果の解析の考え方について
2)長期に観測を続けるための条件整備
3)1996年以降の全国的な調整のための委員会の設定
4)データベース化
5)観測調査要領の改定
などについて検討を行った。
2.ポプラの挿木苗は,北海道から沖縄までの大学演習林の26地点に植栽され,観測が行われた。この他ブナ・ミズナラなどのフェノロジー観測が継続されている。
3.全国の数地点で主要樹種の樹幹流の化学成分が測定され,樹種の特性や季節変動がほぼ明らかになった。
今後は樹種特性としての酸性降下物の捕捉量,降雨時の溶脱量などの樹幹流の化学成分の解明と,林地に到達以降の動きについての解明をすすめることになった。
4.土壌については専門家が少ないことから,長期的展望で調査体制をつくることにし,当面分析能力を高める拠点校をつくり,そこから近隣に調査組織を拡大することを志向することにした。
5.この研究の観測対象と観測地の条件に関するデータベースの作成が全国演習林協議会で諒承され,すでに入力は終えた。利用とデータ修正が次の課題となった。
6.全国演習林協議会の平成7年秋季総会で,このモニタリングを推進,調整する委員会が正式に承認され発足した。

研究成果

• [文献書誌] 西谷裕子: "産地を異にするブナのフェノロジーと形質の比較" 日本林学会106大会. 106(印刷中). (1995)
• [文献書誌] 梶 幹男: "果柄痕の観察によるイヌブナ堅果豊作年の推定" 東大農学部演習林報告. 94. 1-8 (1996)
• [文献書誌] 木村徳志: "ウダイカンバのフェノロジー-東京大学北海道演習林における35年間の経年変動-" 日本林学会北海道支部論文集. 43. 175-177 (1995)
• [文献書誌] 木村徳志: "北海道に自生する落葉広葉樹25種のフェノロジー-フェノロジーの年変動ならびにフェノロジーと気温との関係-" 日本林学会論文集. 106(印刷中). (1995)
• [文献書誌] 木佐貫博光: "カラマツ属フェノロジーの種および産地による変異" 日本林学会論文集. 106(印刷中). (1995)
• [文献書誌] 倉橋昭夫: "アカエゾマツとエゾマツの種間雑種F1および戻し交雑家系の開芽期の変異および異常伸長成長の発現" 日本林学会北海道支部論文集. 44(印刷中). (1996)
• [文献書誌] 倉本恵生: "ミズナラ堅果落下量の年変動 -北大雨龍地方演習林における13年間の結果-" 日本林学会北海道支部論文集. 43. 146-148 (1995)
• [文献書誌] 門松昌彦: "中国東北部・北海道東部・本州西部産ナラ類苗にみられた開葉時期の違い" 日本林学会論文集. 106(印刷中). (1995)
• [文献書誌] 倉本恵生: "ミズナラ堅果落下量の年変動と気象要因の関係" 日本林学会論文集. 106(印刷中). (1995)
• [文献書誌] 中田 誠: "産地の異なるブナの成育状況とフェノロジー" 新潟大学農学部演習林研究報告. 28. 17-28 (1995)
• [文献書誌] 藤本征治: "一斉開葉型の枝条形成パターンについて" 日本林学会中部支部論文集. 43. 95-96 (1995)
• [文献書誌] 藤本征治: "高木類のフェノロジーと枝条形成パターン" 日本林学会論文集. 106(印刷中). (1996)
• [文献書誌] 中島敦司: "開芽からの恒温条件がサザンカの開花、上用芽の発生に及ぼす影響" 日本林学会誌. 77. 254-259 (1995)
• [文献書誌] 櫛田達矢: "アカマツの上用芽発生と着花に及ぼす温度と日長の影響" 日本林学会論文集. 106(印刷中). (1996)
• [文献書誌] 中島敦司: "垂直・水平移動がサザンカの開花に及ぼす影響" 日本林学会論文集. 106(印刷中). (1996)
• [文献書誌] 塚原初男: "樹幹流の化学的特性に関する研究(III)-1994年EC,pHの樹種及び季節変動-" 日本林学会論文集. 106(印刷中). (1996)
• [文献書誌] 塚原初男: "樹幹流の化学的特性に関する研究(IV)-ブナ樹幹流EC,pHの抽出木本数変動-" 日本林学会東北支部会誌. 47(印刷中). (1996)
• [文献書誌] 佐藤冬樹: "道北の森林地帯における酸性雪" 日本林学会論文集. 106(印刷中). (1996)
• [文献書誌] shibata,H: "The role of organic hori-zons and canopy to modify the chemistry of acidic deposition in some forest ecosystems" Water Air and Soil Pollution. 85(印刷中). (1996)
• [文献書誌] 佐藤冬樹: "北海道における酸性雪" 雪氷. 58(印刷中). (1996)
• [文献書誌] 金子隆之: "同時降雨イベントにおける地域の違いが初期降雨の酸性度に与える影響-京都府南部・北部での酸性雨測定結果-" 日本林学会関西支部論文集. 4. 39-42 (1995)
• [文献書誌] 中井 勇: "徳山試験地における酸性雨について-1993年度の調査結果-" 京都大学演習林集報. 28. 18-27 (1995)
• [文献書誌] 安藤 信: "京都市域の雨のpHとECの分布-簡易雨水採取器を用いた初期降雨の測定例-" 日本林学会論文集. 106(印刷中). (1995)
• [文献書誌] 山崎理正: "環境モニタリングにおける林外雨採取方法の比較検討" 京都大学演習林集報. 29(印刷中). (1996)
• [文献書誌] 末松剛介: "森林地帯における溶存物質濃度と流域面積との関係" 九州大学農学芸雑誌. 49(3,4). 149-154 (1995)
• [文献書誌] 石塚成宏: "人工酸性雨が土壌中の細菌に与える影響と団粒による保護効果" 日本林学会誌. 77(6). 589-595 (1995)
• [文献書誌] 高橋輝昌: "幼齢林の養分動態に及ぼす雑草木と下刈りの影響" 森林立地学会誌. 37. 67-76 (1995)
• [文献書誌] 高橋輝昌: "スギおよびヒノキ壮齢人工林における元素の垂直的な移動特性" 日本林学会誌. 78(印刷中). (1996)
• [文献書誌] 戸田浩人: "森林土壌およびAO層における無機態窒素の季節変化" 森林環境資源科学. 34(印刷中). (1996)
• [文献書誌] 戸田浩人: "スギおよびヒノキ林土壌の窒素無機化特性" 森林環境資源科学. 34(印刷中). (1996)
• [文献書誌] 東海林克彦: "メッシュ標高モデルを用いた可視・不可視検索領域シミュレーションの再現性に関する調査" ランドスケープ研究(造園学会誌). 58(5). 189-192 (1995)
• [文献書誌] 筒井一貴: "GISを応用した樹木情報システムの構築" ランドスケープ研究(造園学会誌). 58(5). 193-196 (1995)
• [文献書誌] 斎藤 馨: "GIS、CAD、植物成長モデルを応用した景観シミュレーション手法に関する研究" ランドスケープ研究(造園学会誌). 58(5). 197-200 (1995)
• [文献書誌] 酒井徹朗: "フェノロジー調査の画像処理について" 京都大学演習林集報. 29(印刷中). (1996)
• [文献書誌] 渡邊定元: "樹木社会学" 東京大学出版会, 450 (1994)
• [文献書誌] 梶 幹男: "ブナ類の堅果生産と実生の発生にかかわる要因とその影響-太平洋側のブナ型林分と日本海型ブナ林との比較-、現代生態学とその周辺(沼田 真編)" 東海大学出版会, 379 (1996)
• [文献書誌] 永田 洋(分担): "森へゆこう 大学の森へのいざない" 丸善株式会社, 169 (1996)
• [文献書誌] 只木良也: "環境資源としての森林“地球環境科学"(樽谷 修編)" 朝倉書店, 176 (1995)