• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1993 年度 実績報告書

準実スケールの雲物理過程実験装置の実用化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 05508002
研究機関名古屋大学

研究代表者

藤吉 康志  名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助教授 (40142749)

研究分担者 稲毛 正昭  三井建設, 土木本部, 部長
山田 正  中央大学, 理工学部, 教授 (80111665)
遊馬 芳雄  北海道大学, 理学部, 助手 (10183732)
太田 幸雄  北海道大学, 工学部, 助教授 (00100058)
播磨屋 敏生  北海道大学, 理学部, 教授 (90001859)
キーワード立坑 / 雲 / 凝結核 / 混合核
研究概要

我々は深さ700m、直径5.5mの鉛直な排気用立坑(三井石炭鉱業所有)内に発生した雲を用いて、今年度は、雲の実態把握観測を行なった。空気は何本かの坑道から地下700mの水平坑道にまで集められ、地上に設置された換気用扇風機によって1〜3m/sの速さで吸い出され、この上昇速度は立坑内でほぼ一定であった。地下の水平坑道内の空気の気温と湿度の、ほぼ1年間の時間変化は、気温・湿度共に、8月末頃まで増加し、それ以降は次第に減少していた。1993年8月に測定を行なったが、雲は湿度の高い夏に発生していた。立坑内の気圧は高度と共にほぼ直線的に減少していた。空気は、この気圧変化の中を断熱的に上昇する。気温減率は、乾燥断熱から立坑の途中で湿潤断熱に変化していた。水蒸気の混合比は、250〜350mの間ではほぼ一定となり、350m以上では再び減少していた。坑底で測った半径0.3μm以上のエアロゾルの数は、10〜100/cc、半径5μm以上の数は約0.1/ccで、ほぼ粒径とともに対数的に数が減少していた。サンプラーで採取したエアロゾルの電子顕微鏡写真及びEDX法によって分析した個々のエアロゾル粒子の元素分析によれば、直径数μm以上の大きな粒子はNaClが主に含まれているが、Si,S,O,Caも検出されており、混合核になっていることが分かった。一方、1μm以下の粒子では、Si,O,Fe,Al,Mg,K,Caが検出された。8月に行なった観測では、霧水の採取と、過飽和度を変えたCCNの個数の測定、アンダーセンサンプラーによるエアロゾル粒子の捕捉、エアロゾルサンプラーによるエアロゾル粒子の高度分布、顕微鏡ビデオカメラを用いた雲粒の粒径分布の鉛直分布の測定に成功し、現在解析中である。現場で行なった1次解析では、雲底付近に存在する雲粒は粒径が大きく、雲頂付近ではそれ以外に粒径の小さい雲粒が数多く存在していることが分かった。また、加湿しない時に発生した雲の雲水のpHは6.83でほぼ中性であったが、地下水をまいて加湿した時に発生した雲の雲水のpHは9以上の強いアルカリ性を示していた。これは、地下水自体のpHが9以上であったためである。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 藤吉康志 他: "立坑内に発生した準実スケールの雲の観測(I)" 気象学会講演予稿集. 64. 263 (1993)

  • [文献書誌] 杉山 知 他: "長大立坑を利用した準実スケールでの雲物理実験(その2)" 水文・水資源学会研究発表会要旨集. 210-211 (1993)

  • [文献書誌] 日比野忠史 他: "準実スケールの雲物理実験と降雨シミュレーション" 第1回地球環境シンポジウム講演集. 291-296 (1993)

  • [文献書誌] 杉山 知 他: "長大立坑を利用した準実スケールでの雲物理実験" 土木学会学術講演会講演概要集. 48. 167-168 (1993)

  • [文献書誌] Yamada,T.et al.: "Quasi-prototype experiment of cloud physics using long shaft in the mine" Proceedings of 25th Congress of IAHR(Tokyo). I. 113-118 (1993)

URL: 

公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi