研究課題
これまで実験に用いてきた上砂川町三井石炭鉱業所有の立坑が、都合により閉鎖された。そこで、岐阜県の神岡鉱山に、約500mの深さの立坑があることが分かり、下見を行ったが、ここは湧水がひどくこの立坑を用いることは断念した。次に、岩手県釜石市ある釜石鉱山株式会社を訪問し、既に廃棄された鉛直立坑の調査を行ない、中央立坑を使って、高さ250mから680mの間(即ち430mの長さ)で雲の発生実験が可能であることが分かった。立坑内部には階段があり、内部に人が入り測定することが可能である。その後、坑内の設備について打ち合わせを行ない、実験のための環境がようやく整ったところである。現在は、釜石での第1回目の実験を4月の第1週に行なうことが決まり、エアロゾルの濃度、化学成分の濃度と種類の同定、雲粒の数濃度と大きさ、発生した雲粒の物理的特性の測定、大気の化学成分の測定を行なう。これまで上砂川町で行なった実験で得られた成果を要約すると、1)理論から予想される気塊の上昇に伴う気温の減率を、世界で初めて実験的検証に成功したこと、2)世界で初めて理論と対応可能な雲の内外の湿度の詳細な分布測定に成功したこと、3)世界で初めて、エアロゾルと雲を含む現実大気と不純物の無いクリーンな大気との温度構造の違いを実証したこと、4)世界で初めて雲核の個数の変化が雲の粒径分布に及ぼす効果を実証したこと、が上げられる。これらの成果は、土木学会論文集に掲載された。
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