本研究は、地球深部特に核からの微弱な信号を検出する高感度多成分かつ長周期の加速度計の改良と開発を変極的な目標としている。当該年度は既存の広帯波地表計STS2型を基にして改造 がえ、同時に加速度計測における基本的な諸問題点の整理を行い、個々に詳細な研究を行った。主として国立天文台の水沢観測センターの所有する江刺地球 観測所の精 実験室内に、改造したセンサーとSTS1の広帯域地表計を設置し、種々のテスト測定を行った。具体的にはリモートコントロールによりセンサーのキャリブレイションを行い、5ケタのダイナミックレンジでセンサーの線形性を確認した。またST51地表計の出力と改造センサーの出力を比較し、地表帯および潮汐帯での改造センサーの特性を議論した。さらに加速度出力に影響を与える の環境因子、例えば気温・気圧等の変動について理論的に考さつした。これらの影響を軽減するには、10^<-3>経度以下に減圧した 容器内にセンサーをおく必要がある。また加速度計測の極限を高める意味での超電導重力計とSTS1広帯波地表計の出力で比較検討した。潮汐帯およびサブサイヌミック帯での超電導重力計の動作性能は優れている事を確認した。超電導重力計の出力に長周期地表 において、線形の気圧と引力の効果を補正したところ、約10ngalのノイズレベルの改善が得られることを見い出した。江刺での長周期のノイズレベルは従来の低ノイズモデルに比べて、同程度が、あるいはやや小さいという、やや意外な結果となった。これは、島弧における長周期ノイズがそれほど大きくないこと、また気圧補正が10000秒程度の も有効なことを示している。
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